いしかわ生物多様性カフェ

いしかわ生物多様性カフェ

いしかわ生物多様性カフェアンケートの自由回答の分析

いしかわ生物多様性カフェで実施したアンケートの自由回答の分析をしました。

アンケートでは「今回のカフェはいかがでしたか?」「カフェに参加して生物多様性と人の暮らしについて、考え方が変わりましたか?」「今回の感想をお聞かせください」という質問で自由回答欄を設けています。それぞれ異なる質問ですが、自由回答全てをデータとして扱い、分析をしてみました。

 

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第一回目

話題提供者:中村浩二さん(金沢大学名誉教授)

テーマ:生物多様性から考える、いしかわの現在と未来(総論)

参加者数:約50名(一般参加者40名+スタッフ・関係者10名程度)

 

 

図1は自由回答をKJ法によって分析したものです(私の手動分析です)。

 

 

図1

 

 

参加者・意見・対話の多様性に関する記述が多く、それらがネットワーキングや考えるということにつながっているという結果となっています。
また、楽しかったという記述も目立ちました。対話の場としての楽しさが評価されているようです。

 

 

図2は同じデータを使ってテキストマイニングしたものです。

 

図2

 
 
テキストマイニング法を用いると大まかな単語の出現傾向は把握できます。
生物多様性、しゃべりやすい、知り合える、話し合う、聞けるといった単語が目立っています。

 

 

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第二回目

話題提供者:高田知紀さん(兵庫県立大学准教授/兵庫県立人と自然の博物館主任研究員)

テーマ:妖怪から生物多様性を考える−自然という恵みと災い

参加者数:約50名(一般参加者42名+スタッフ・関係者10名程度)

 

 

図3は自由回答をKJ法によって分析したものです(私の手動分析です)。

 

図3

 

妖怪という面白さに関する記述が多く、妖怪から新しい視点を獲得したり、考える契機になったという記述も見られます。
一方で、参加者の多様性やカフェという場での対話については、1回目と比べると多くのない結果でした。

妖怪というテーマの面白さに参加者が魅了されたといえるかもしれません。

 

 

 

図4は同じデータを使ってテキストマイニングしたものです。

 

図4

 

 

妖怪、生物多様性という言葉が大きく、ひきつける、おもしろいという動詞、非科学、ワークショップ、防災という言葉も目立っています。

 

 

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今回、KJ法とテキストマイニングを使った結果を示しました。

 

KJ法で分析すると、私の能力では、おおよそ半日ぐらいの時間が必要です。

一方、テキストマイニングだと、わずか数秒で結果が出ます。

コストパフォーマンスでは、圧倒的にテキストマイニングですが、昔ながらのKJ法も一つ一つのデータと向き合いながら考えていくというよさを改めて認識しました。

 

これからも両方を手法を使いながら、カフェの取り組みを自己分析し、よりよい場として発展できるようにしていきたいと思います。

 

よろしくお願いします。

第三回いしかわ生物多様性カフェを開催します

第三回いしかわ生物多様性カフェを開催します。

【話題提供者】高橋満彦さん(富山大学教授)

【テーマ】法律は生物多様性を守るのか?

【日時】2024年1月19日(金)18:30〜20:30

【場所】石川県立図書館 研修室(文化交流エリア2F) ※対面のみです

【対象】どなたでも参加できます(参加費無料)

【定員】40名程度

【主催】金沢大学先端観光科学研究所 菊地直樹研究室

【共催】石川県立図書館、いしかわ環境パートナーシップ県民会議(いしかわ自然学校)

【協力】石川県立大学 上野裕介研究室

第二回いしかわ生物多様性カフェのアンケート結果

第二回いしかわ生物多様性カフェのアンケート結果(速報)です。

データを示すだけで特に分析はしていません。

一般参加者数:42名

回答者数:39名

回答率:92.9%

 

①年齢

 

10代:7.7%(3名)、20代:15.4%(6名)、30代:12.8%(5名)、40代:20.5%(8名)、50代:28.2%(11名)、60代:10.3%(4名)、70代以上:5.1%(2名)

 

 

②性別

 

男性:31.6%(12名)、女性:68.4%(26名)

 

 

③職業

会社員:18.4%(7名)、公務員:7.9%(3名)、教員:18.4%(7名)、自営業:7.9%(3名)、主婦/主夫:5.3%(2名)、パート/アルバイト:5.3%(2名)、学生:26.3%(10名)、無職:2.6%(1名)、その他:5.3%(2名)

大学の研究室主催のカフェだからでしょうか、学生が一番多くなっていますが、さまざまな職業の方が参加していることがわかります。

 

 

④参加回数

 

初めてが48.6%(18名)、51.4%(19名)と約半々でした。

 

 

⑤満足度

 

 

大変満足:65.8%(25名)、満足:31.6%(12名)、どちらともいえない:0.0%(0名)、あまり満足ではない:2.6%(1名)、満足ではない:0.0%(0人)

約97%の参加者が満足(大変満足と満足を合わせた数値)したと回答しています。

 

由回答には以下のような言葉が寄せられました。

 

・楽しい視点を得た。association(類似性)して、他の事象との係わりができた。インスピレーションを得た。

・とてもおもしろく、妖怪というもののおもしろさをよりわかった気がしました。

・広い場所で前回より見やすくて良かった。高田先生のお話もおもしろく、よく理解出来ました。

・若い方が多様でおもしろい。

・防災教育に妖怪を活用できるという新たな発見があった。

・人ならぬものとのつきあい方。分からないものとうまくつきあう。

・妖怪⇄自然リスク。哲学的で深く考えられている→語りがすばらしい。いつもいつも考えている。

・自分の研究へのインスピレーションをえられた気がする。

・初めて知る話が多く、シンプルに楽しかったです。

・不思議な会合で、おもしろいと思いました。

・生物多様性とは少し遠いようなテーマであったが、何百年も前から継承される、その地域ならではの文化・自然環境に触れることはできたのではないかと思う。

・普段考えない新たな視点を得ることができた。

・いろいろな世代の人と意見を交換することができて、参考になりました。

・妖怪と防災とがつながるなんて、びっくり!子ども達に考えた妖怪のストーリーやネーミングがすごく面白かった。

・「ゴミを拾うと妖怪の害を回避できる」、現象と直接つながらない。普段の良い行いをする、徳を積むという意識(無意識かも)は子どもによくある。妖怪と同様の概念は欧米にもあるが「悪魔」「ゴースト」「フェアリー」でくくられる。「こんなに細かく名前が分かれているなんてクレイジー」。わからないことを説明するための妖怪。注意を促すために妖怪にする。妖怪と神様の境目は?

・あたり前にあるものの理解が深まった。

・ふだん聞けない話をきけた。

・とても勉強になりました。おもしろかったです!

・新しい視点が得られました。

 

 

⑥参加して生物多様性と人の暮らしについて、考え方は変わりましたか

 

 

大きく変わった:22.2%(8名)、変わった:44.4%(16名)、どちらともいえない:25.0%(9名)、あまり変わらない:5.6%(2名)、変わらない:2.8%(1名)

約67%の参加者が変わった(大きく変わったと変わったを合わせた数値)と回答しています。

 

自由回答には以下のような言葉が寄せられました

 

・ヨーカイの多様性

・妖怪をしんじるしんじない以前に、わかりやすく伝えるということを追求した結果なのかなとも思いました。

・妖怪伝承と地域防災、コミュニティ共有。なるほどなと思いました。子供にもわかりやすく長く早く伝わっていく。親子で妖怪リスクゲーム楽しそう。

・浅野川の清掃活動、ゴミ拾いを通して(みえないもの)徳をつんでつながることがありました。学術的に、ことばにして下さった。視野が広がりました。ありがとうございます。

・妖怪は自然から人間に対するいましめ!

・新たな視点が得られた。

・分からないけど行けないといけないこと、意志決定・合意形成。今までも大切だと思っていた。

・「科学する=わからないものを秩序だった様にする(数式化など)」と思って仕事や研究をしてきたが、もっと自由でよい。

・妖怪という「不可知」と「可知」の関係が面白かった。

・日常の中でギモンを持って物事を見ることで、新しいことを知れるかも・・・楽しみです!

・妖怪と生物多様性とのつながりが、イマイチ腑におちませんでした。

・「わからないこと」多様性を大切にすることの、大切さ・おもしろさを考えました。

・生物多様性についての考え方はそこまで変わっていないものの、「妖怪=負の超自然的な現象」というのを応用して、日常生活にひそむリスクを防いでいくという考えは、かなり斬新であると思ったし、個人的にひきつけられたと思う。

・歴史の中で生まれた妖怪を通して、もう一度今現在の日本社会を捉えることも面白そうだと思った。

・いろいろな立場の人のいろいろな考えがきけて力づけられる。

・妖怪は地域の安全的知恵を生物化したものだと理解できた。

・知らない世界に触れられ良かった。いろいろな方と知り合えるのも良い。

・これまで思っていたことが再認識できました。

 

 

 

⑦今後も参加したいと思いますか

 

 

参加したいと思う:94.9%(37名)、思わない:0.0%(0名)、わからない:5.1%(2名)

今後も参加したいという回答者が9割を超えています

 

 

⑧興味があるテーマ

・老荘思想、成人発達理論、哲学、禅

・今後、どのような技術が生まれて生活にどれぐらい影響を与えるのか。

・昔の人の自然に則した生活とこれから私たち人間が自然物を枯渇させずに新しく生きていく方向と生き物たちとのかかわりなど。

・法哲学

・動植物の資源利用

・日本の季節は四つだけでしょうか。

・自然と共生

・獣害

・様々な生き物、昆虫、鳥、小中大型動物たちの行動が、自然の多様性に繋がっているか知りたいです。

・哲学

・防犯

・ある地域ならではの生物とその伝説、それとの付き合い方について。

・汽水域から見た生物多様性などお話をきき、フィールドワークもぜひ考えてほしい。

・外来生物の駆除は善か悪か。

・(ツキノワグマ)クマとヒト

・農林水産業、地産地消

・自然保全と伝統文化、地域資源の新しい価値

・里山再生やコウノトリ、トキなどの取組み

・妖怪シリーズ、お願いします。

・植物、文化、知識の共有や継続に必要なものとは?

 

 

⑨全体としての感想として、以下の声が寄せられました。

 

・ヨーカイ考案WSはすばらしいアイデアですね。

・妖怪というわからないものを調べると、こんなにもたくさんのことを知ることができたり、人間の本質に近づけたような気がしました。

・日本昔話を見て子供時代を過ごしました。今日、日本のあのころの伝承として、また大人の視点でいろいろ読んでみたいと思います。地域防災、コミュニティ、生物の生息地域による妖怪の違い、自然との境界の外。

・すごく面白かったです!また機会がありましたら、よんでみます。

・何かわからないことは妖怪のせいだよね。この●も妖怪のはからい?

・妖怪を見直しました。わからないことはとりあえず妖怪のせいにしてから、考えるようにしてみます。

・よく分からないものにひきつけられるのが人間。ようかいの話は、とっても面白かったです。かっぱがめ、スッポンの他にサルというのも面白かった。

・毎日生活の中でいろいろな出会いが出来ました。

・バスの便が悪い!

・災害と妖怪の関係について、地域を見つめていく視点が増えて勉強になりました。

・高田先生と菊地先生の返しがすごかったです。「非科学的なものを科学する」高田先生の姿勢に驚かされました。

・不思議なこと、わからないものを伝える手段としての「妖怪」大変面白かったです!それを防災に活かすという視点が興味深かったです。いろんな世代・専門の人と話せるのがおもしろいですね!

・今、専攻を何にするか悩んでいたので、土木の研究をしている高田先生が、妖怪みたいな非科学的な話をしているのを聞いて、驚きがあると同時に、素直に自分がやりたいことをやればいいかなと思った。

・内容も大変面白かったが、大人同士が真剣に妖怪について語ることはなかなかない機会と思い参加した。グループトークも面白かった。

・楽しくお話聞かせていただきました。ありがとうございます。

・非常に興味観心をひかれた。

・初めて知る話が多く、シンプルに楽しかったです。

・世代、性別、職業etc様々な人が集まり、妖怪から生物多様性を考えるというふわっとしたテーマに対し、いろいろな立場の人が活発に意見交換する不思議な集まりでした。

・「わからないこと」を大切にすることの価値の共有がよかったです!

・現代は科学技術の発展によって、多くのことが解明されてきている。しかし、そんな中でファンタジーのような「よくわからないこと」について議論することは、本質的に有用であるかは別として、想像力をかきたる良い機会であると思った。次回もたのしみにしております。

・高校生から88歳になる先生まで多様な意見を聴くことができ、良かった。江戸時代は「見えないものを見ようとした」とあったが、現代は妖怪ウォッチのOPにもあるように見えない妖怪のせいにして、納得する考えが強いと思い、変化があったのだと思う。

・昔から好きだった妖怪を多面的に見ることができて、楽しかった。

・自然の多様性が妖怪を生み出したこと。ぜひワークショップをやってほしいです。

わからないもの、わからないことだらけの世の中だけど、その中から何を見出して、どう生きて行くのか。みんな悩んで手さぐりであるんでいるんだなぁと何だか安心した。菊地先生のフォローが素晴らしい!発言者の意図するところをわかりやすく語って下さること。生物多様性というテーマに上手くつなげて、集まった人々にこの集まりが「いしかわ生物多様性カフェ」であることをさりげに思い出させてくださった。

・普段全く意識しない角度からのテーマ設定だったので、普段使わない部分がシゲキされました。

・妖怪を活用した地域防災はどのように生物多様性を関連づけができるのかちょっとわからないですが、多大な啓発を受けました。ありがとうございました。

・仕事上、災害が起きると対応しなくてはいけない仕事をしています。妖怪の視点で災害を考える視点がとてもおもしろかったです。湯涌温泉のワークショップも楽しみにしています。

・妖怪ワークショップは、おもしろい取り組みだと思いました。自分で考え、リスクを見つけ出すところが良いと思う。

・兵庫県立人と自然の博物館の展示を見たいです。巡回展とかして欲しいです。

 

 

第二回いしかわ生物多様性カフェ記録

第二回 いしかわ生物多様性カフェ記録

開催日時:2023年11月17日(金)18:30〜20:30

開催場所:石川県立図書館研修室

話題提供者:高田知紀さん(兵庫県立大学 准教授/兵庫県立 人と自然の博物館 主任研究員)

テーマ:妖怪から生物多様性を考える−自然という恵みと災い

参加者数:約50名(一般参加者42名+スタッフ・関係者10名程度)

 

前回の会場はちょっと狭くてぎゅうぎゅう詰めだったので、広い会場に変更(ちょっと広すぎだったかなあ、と独り言)。

 

【趣旨説明】

いしかわ生物多様性カフェとは、人の暮らしと生物多様性について、コーヒーなどを飲みながら、市民と専門家が「対話」する場です。

「対話」を通して、生物多様性を活かした石川の未来を考える機会、生物多様性がテーマのネットワークをつくりたいと考えています。

 

当面は、2ヶ月に一度程度の間隔で開催します。

 

対話はのルールは以下の三つです。

・誰でも参加できること

・誰でも発言できること

・発言を否定しないこと

 

 

 

 

【話題提供】

高田さんは、合意形成、市民プロジェクトのマネジメント、風土を活かした計画論の研究している中堅の研究者。伝統的地域社会において,人びとは不可解な事象に対する説明装置として妖怪(本来的妖怪)を語ってきましたが、思考の合理化によって、キャラクターとしての妖怪が広まってきたといいます。

 

妖怪伝承の多くはある一定の場所性をもって語られています。山には山の、川には川の、海には海の、里には里の、屋敷には屋敷の、それぞれの妖怪が存在しています。妖怪は、それぞれの場所のリスクとわからないことを納得するための伝承と考えることができます。こうした多様性は、たとえばキリスト教圏などでは見られないともいいます。妖怪は自然とのかかわり方の多様性を表しているといえそうです。

高田さんは、自然災害に関する妖怪文化に注目し、妖怪を活用した地域防災を提唱しています。その手法が妖怪ワークショップです。地域のリスクを洗い出し、リスクをシンボル化し、そのエッセンスを表現し、対処の方法検討し、それらを伝承していきます。子どもたちが色々な妖怪を考えた事例も紹介していただきました。みんなでつくる21世紀の妖怪ですね。高田さんは、現代社会で妖怪を語ることの意義として、人間を取り巻く現実の世界は「わかっていること」以上に「わからないこと」で溢れていて、生きていくうえでは「わからないこと」とも付き合っていかなければならない。「妖怪をみるということは,みえないものを無理やりにみようとすること」(水木しげる)を挙げました。

 

ブレイクタイムでは、周りの人と5分ほど雑談。自己紹介や妖怪の話で、各テーブルは盛り上がっていたようでした。

いよいよ対話開始。私の学生が作成した記録をもとに、対話の様子をお伝えします。

 

【対話】

Aさん(大学生):哲学を専攻していて形而上学も学んでいる。妖怪などのよく分からないことを考えることは哲学的で面白い。

 

高田さん:水木しげる先生の「妖怪を見ることは、見えないものを無理やりにみようとすること」という言葉がとても大事。分かること以上に分からないことの方が多い。分かっていることだけで、防災のことを考えるのはリスクがある。生きるときには、分かっていることと分からないことを知って、意思決定することが大事。分かっていることだけで合意形成すると、いい結論にならない。

 

Bさん(行政職員):子どもに分かりやすく防災を教えるツールとしての妖怪。危険回避のゲームを使って学ぶのは面白そう。例えば、電気柵が妖怪 電気柵転がし。

 

菊地:獣とどう付き合っていくかということやリスクを認識するのに妖怪が有用かもしれない。

 

Cさん:なぜ江戸時代に妖怪を信じなくなったのでしょうか?なぜ、現在では科学的ではないものを信じないのでしょうか?

 

高田さん:江戸時代の人はそれより前の時代の人に比べて思考が合理的。そのため、前時代的な妖怪などを信じなくなった。江戸時代以前とは、思考の体系が大きく変わっている。

 

Dさん(大学教員):分からない現象についてリスクを管理する意味で、防災の意味の妖怪もいるように、病に関する妖怪もいるだろう。タイにもおばけがいて、原因を説明できない「風邪」はお化けのせい。エイズは原因が分かったので、おばけではない。説明できない病は呪いやお祓いで対処。人が病の時は術を使う人が解決することができるが、災害の場合は、人々が語り、共有することによって、防災につながると思う。

 

高田さん:神様と妖怪を区別できない。表裏一体。目に見えない事象の原因を何にするかで、対処の方法が変わってくる。神様を原因だとすると、神社のお祓いで対応する。

 

Eさん(大学教員):妖怪ウォッチブームで妖怪に対する関心は変わらないのか?

 

高田さん:子どもたちはずっと妖怪が好き。

菊地:世代間で妖怪に対する興味の差はあるのか?

高田さん:妖怪ワークショップでは親と子が一緒に考えるのが一番面白い。大人はカッコつけて考えてしまう。あるいは理屈で考えてしまう。子どもの方が、ゴミを拾ったり、人に優しくしたりといった、普段の行いや徳を積むことが妖怪に関係すると話す。

 

Fさん(高校生):帰る時間になると学校の電球がチカチカする「イチゴちゃんが来た」。

 

Gさん(研究者):真実と知っていることの間が妖怪。研究の出発点になることが妖怪などの「よくわからない」ということ。人間にとっては大事なもの。真実に迫るには、妖怪が重要。多様性を理解するためには、自由な発想が重要。

 

菊地:わかることもあるし、分からないものもある、その間にあるのが妖怪

高田さん:現実はとても複雑であり、元々未分化の現実を自分の都合で理解している。

菊地:科学のアプローチもあるけど、真実に到達する一つの方法として妖怪からのアプローチもある。

 

Hさん(自然関係者):白山比咩神社の近くでキャンプ場の仕事。天気に左右される仕事、親子の合意形成の話。大人は雨になったら屋内で、子供は雨でも外のテントで寝たい。

てるてる坊主は何の儀式。天気の子の映画のような生贄なのか。妖怪と天気との関連は?

 

高田さん:人間がコントロールできないもの、超越的な何かが私達にもたらしてくれるものが天気。妖怪と雨乞いの話。池の底に龍のお気に入りの鐘があって、鐘に悪戯したら龍が怒って雨を降らせるため、雨が降らないときは、池に潜って龍を怒らせようとしていた。

人間はコントロールできないものに対して、諦めずに努力をしてきた。その努力の結晶が、祈り、祭りや儀式。

 

菊地:日本では八百万の神というようにあらゆるところに神様が存在している。一神教の世界では、ローカル中身を排除してきた歴史がある。たとえば、ヨーロッパには妖怪がいるのか?

高田さん:国や地域によっては、悪魔や妖精などがいるが、ローカル生が乏しい。一個一個に名前を付けるのが日本人の特徴。河童でもローカル性がある。微妙な差によって、名前も違う。

菊地:妖怪の多様性があるということ。

 

Iさん(自然インストラクター)女性:里山の公園で働いている。物の妖怪について詳しく教えてほしい。

 

高田さん:万物に魂が宿るというのが、ベースとしてある。人が信じなくなっても、人と物との付き合い方は日本人の精神性が現れている。

 

Jさん(農家)男:夢の中に妖怪は存在しますか?日本とアメリカの間に綱があってそれを渡る夢。

 

高田さん:夢の妖怪は多い。枕返し:単にいたずらだけではなく、枕を返されると、異世界に行く。夢を見て、起きた時に不安がある。不安感が妖怪形成につながる。

 

Kさん(大学生):「妖怪のせいなのね」とりあえず見えないものを妖怪にしている。

 

高田さん:妖怪ウォッチのレベルで妖怪を認識していても、しめ縄まいた木を切れない。キャラクター化されても、妖怪にはリアリティがある。

菊地:妖怪は科学的ではないと言われることもあるが、自然へのアプローチの一つとして重要。

 

 

アンケートを読む限り、概ね好評。

いまいち妖怪と生物多様性の関係がわからなかったというご指摘もありました。

 

これからも、「ゆるく繋がりながら、大事なことを話し合っていきたい」と思います。

 

関係者のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

翌日予定していた妖怪ワークショップは、悪天候のため中止としました。

春に再企画します。

 

石川県立図書館に所蔵された高田さんのご著書や妖怪関係の本

 

第二回いしかわ生物多様性カフェと妖怪ワークショップを開催します

第二回いしかわ生物多様性カフェを開催します。

 

【話題提供者】高田知紀さん(兵庫県立大学准教授/兵庫県立人と自然の博物館研究員)

【テーマ】妖怪から生物多様性から考える−自然という恵みと災い

【日時】2023年11月17日(金)18:30〜20:30

【場所】石川県立図書館 研修室(文化交流エリア2F) ※対面のみです

【対象】どなたでも参加できます(参加費無料)

【定員】40名程度

【主催】金沢大学先端観光科学研究所 菊地直樹研究室

【共催】石川県立図書館、いしかわ環境パートナーシップ県民会議(いしかわ自然学校)

【協力】石川県立大学 上野裕介研究室

 

あわせて以下のイベントも開催します。

 妖怪ワークショップ

【講師】高田知紀さん(兵庫県立大学准教授/兵庫県立人と自然の博物館研究員)

【日時】2023年11月18日(土)9:00〜12:00(集合時間8:50)

【集合場所】湯涌創作の森

【対象】どなたでも参加できます(参加費無料)

【定員】20名程度

【主催】金沢大学先端観光科学研究所 菊地直樹研究室

【共催】石川県立図書館、いしかわ環境パートナーシップ県民会議(いしかわ自然学校)

【協力】石川県立大学 上野裕介研究室

 

【申込方法】

参加をご希望の方は、以下の申込フォームから必要事項をご記入の上、お申し込みください。カフェとワークショップはどちらかだけでも参加できます。いしかわ生物多様性カフェは当日の受付も可能ですが、なるべく事前に申し込んでください。

https://docs.google.com/forms/d/1v2_bP4e_QKaFqCKUEWKiItr8RpL3DDRFTWkopIYgnhY/edit

 

第一回いしかわ生物多様性カフェ・アンケート結果

第一回いしかわ生物多様性カフェのアンケート結果(速報)です。

データを示すだけで特に分析はしていません。

一般参加者数:40名

回答者数:34名

回答率:75.0%

 

 

①年齢

 

 

10代:8.8%(3名)、20代:8.8%(3名)、30代:14.7%(5名)、40代:20.6%(7名)、50代:32.4%(11名)、60代:8.8%(3名)、70代:5.9%(2名)

10代から70代までの方々が参加者されました。40代と50代で約半数を占めています。

 

 

②性別

 

男性:29.4%(10名)、女性:70.6%(24名)

 

 

③職業

 

会社員:14.7%(5名)、公務員:14.7%(5名)、教員:8.8%(3名)、自営業:11.8%(4名)、主婦/主夫:5.9%(2名)、パート/アルバイト:8.8%(3名)、学生:23.5%(8名)、無職:2.9%(1名)、その他:8.8%(3名)

大学の研究室主催のカフェだからでしょうか、学生が一番多くなっていますが、さまざまな職業の方が参加していることがわかります。

 

 

④今回のカフェの満足度

 

大変満足:35.3%(12名)、満足:52.9%(18名)、どちらともいえない:8.8%(3名)、あまり満足ではない:2.9%(1名)、満足ではない:0.0%(0人)

90%近くの参加者が満足(大変満足と満足を合わせた数値)したと回答しています。

 

自由回答には以下のような言葉が寄せられました。

・せっかくの中村先生のスライド、ゆっくり全部見たかったです。

・さまざまな職種の方と知り合える、知見を深めれる良い機会だったため。

・大学の講義のような、かたい空間ではなく、誰でも気軽に発言できることで、身近なところから生物多様性の分野に触れることができたから。

・多角からの意見をきいて、漠然とした自分の考えがはっきりしてくるようでした。また、話をききたい。

・自分の知らない周りの現状や自然と暮らしの関わりについて学ことができたので良かったです。

・菊地先生のまとめ・要約がよかったです。

・人間からの目線の生物多様性の話が中心で、本来の意味での生物多様性の大切な話を聞きたかったです。

・環境、自然に興味ある方々の色々な話の場。石川のよりよい方向を考えていけると思う。

・金大は街に出かける通り道で大変身近な存在であるにもかからわず、我が家の3人の子供たちは誰も金大に進学してくれなかったので、金大でどのような活動がされているのか、ほとんど知らずに過ごしてきた。国内外の幅広いお話が聞けて世界観が広がった。

・発言する勇気が出なかったことが惜しかった。

・様々な意見が出たこと。

 

 

⑤参加して生物多様性と人の暮らしについて、考え方は変わりましたか?

 

大きく変わった:9.1%(3名)、変わった:42.4%(14名)、どちらともいえない:18.2%(6名)、あまり変わらない:24.2%(8名)、変わらない:6.1%(2名)

5割強の参加者が変わった(大きく変わったと変わったを合わせた数値)と回答しています。

 

自由回答には以下のような言葉が寄せられました。

・せわしい日々の中、ついつい「今だけ」になりがちですが、改めてこれから「先」を考える良い時間となりました。

・年上、年下の方の意見から大きく学ものがあり、自分の考えにプラスαできた。

・普段何気なく生活していたが、スーパーマーケットにならぶ食材といった、生活に接しているところからも、生物多様性のためにできることを考え直すことができると思った。

・かなり自分の考えていることと一致していることが多かったです。人口減少を悪い点からしかみれていないこと、ポジティブの面もあることがあまり評価されていないことや、ジェンダー、経済との密接な関わりも重要な論点であると再認識しました。

・中村先生の講演は広範で刺激的でした。

・希少種の保護のためには何をすべきかといった話が中心になると思っていたのだが、実際は人口減少、高齢化などの話題が中心で、参加者もそれを自然に受け入れていて、生物多様性と人間活動との繋がりについて、みなさんが意識していることが驚きだったし、興味深かった。

・ポジティブな面で石川の現状も知れました。考えてみるのもたしか

・今やれることを続けてやります。

・生物多様性と人の暮らし、この繋がり、人とのつながりをもっと知りたいと思いました。

・生物多様性が重要であるとの認識はあったが、それが人の暮らしとどのようにかかわってくるのかと結びつけて考えることはしていなかった。

 

 

⑥今後も参加したいと思いますか?

 

参加したいと思う:93.9%(31名)、思わない:0.0%(0名)、わからない:6.1%(2名)

今後も参加したいという回答者が9割を超えています。

 

 

⑦興味があるテーマ

・山林(林業)をいかに活かしていくか。

・山の再生。「自伐型林業」はじめて聞きました。

・経営。主に軍資金面から考える生物(環境)保全

・祭りなど、人口減少が顕著である地域における、継承されるべき文化について

・知らないことは、どんなテーマでも知りたいです。

・地域のプロジェクト

・生態系サービス(資源)に、付加価値を高めるのはどうしたらいいのか考えています

・七尾湾をめぐる生物・植物

・ジェンダーと文化的特性の関わり。国際的な自然や生物多様性の位置付け。

・・生物多様性の大切さを次世代にどのように伝えるか、人間(自然)の生活のもっと深くを支えるものとして

・たくさんの人に自然に興味をもってもらうには

・子供と自然体験から新しく得られる環境教育

・地域ごとのものがたり(文化)

・自然・文化と子どもたちへの継承

・子ども連れでも参加しやすいものも!

・子ども哲学

・知識もなく、若くもなく、資金もない、大半の人間が、生物多様性と人の暮らしについて何ができるのか。10年後には65歳以上の人が日本では6人に1人(記憶違いだったらすみません)。その中でできること

・ジェンダー・平等

・民俗系の話

 

 

⑧全体としての感想として、以下の声が寄せられました。

・色々な世代・背景の方のお話をお伺いでき、楽しかったです。ありがとうございました。

・多様な方々の集まりで楽しかったです。普段は中々出会えない方々との出会いで、今後、カフェがどのように発展していくか楽しみです。

・さまざまな職種、年齢の方のお話が聞けてよかったです。ありがとうございました。

・先生の貴重なお話を聞く良い機会だったが、1時間半という短い時間のため、みんなで話し合う時間を増やしてほしいと感じた。

・一般的な知識としての「里山」「SDGs」しか知らず、上部だけの綺麗事ばかり考えていたが、体当たりで関わっていくことで、見えてくるものもあるのではないかと思った。

・いしかわ自然学校が2002年にできたことが分かったので、ルーツをたどっていきたいと思いました。

・いろいろな立場の方からの話、大変おもしろく拝聴しました。若い方から年配の方まで、いろいろな方のお話を聞けるのがよかったです。小グループでの話ができると、今回発言できなかった方もしゃべりやすいかもしれません。おとなりの方のお話も聞きたかったナと思います。大変満足しております。ご準備等ありがとうございました!

・議論が次々展開していくのが面白かった。自分も意見が言えたら良かった。

・中村先生の講義だけでなく、参加されているみなさんが考えていることや、自身の現状を知ることができ、とても有意義な時間となりました。自分は発言することができなかったのですが、今後の開催にも参加をし、対話を進めていきたいと思います。

・思っていたよりも多様な方々が参加していて楽しかったです。参加者のコメントに対して、講師の方のお考えももう少しうかがいたかったです。

・経済成長、環境問題、里地里山と、時代によって取り組むべき課題は移り変わっているという、中学校の先生のコメントがとても印象に残りました。

・人間にとってのメリット・デメリットの話で考えると、本当の多様性の意味や必要性を見失わないかと感じた。

・自分が知りたかったことと、知らなかったことなど、たくさんの人の意見を聞くことができてよかったです。

・子供を連れてきて良かった。発言する娘が頼もしかったです。年齢の枠をこえての交流は良いです。

・色々な方のお話が聞けて良かったです。テーブルごとに対話もしたかったかも。

・テーブルで対話できればよかった。

・生物多様性について、広い視点で知ることができました。次回も楽しみです!

・もう少し交流の時間を取れると良いかなと。

・何も知識のない中、自分にできることは何か考えるきっかけができました。また、何か出来るところはないか情報があればいいと思いました。

・多様な人が話し合い、交流できる場に感謝しています。

・大変な局面にあると考えさせられた。最後に色々な方々のお話が聞けて勉強になりました。考えさせられた。もっと皆様の意見を聞いてみたいと思いました。

・いろいろな年代の、いろいろな立ち位置の人々の話をきけて、とても参考になった。よろよろと生きている年寄り(自分)にもできることが、まだまだありそー!と明るい希望がみえたひと時になった。ありがとうございます。

・多様な世代の方のお話を聞くことができてよかったです。

・自由なところが良い。

・高校生の指摘。それを聞いて、参加してよかったと思う。若い世代の意見を聞けてよかった。

・熱心な方が多くて驚きました。どのようなモティベーションで参加している人が集まった場なのか気になります。

 

 

 

第一回いしかわ生物多様性カフェ記録

開催日時:2023年9月29日(金)18:30〜20:20

開催場所:石川県立図書館食文化体験スペース

話題提供者:中村浩二さん(金沢大学名誉教授)

テーマ:生物多様性から考える、いしかわの現在と未来(総論)

参加者数:約50名(一般参加者40名+スタッフ・関係者10名程度)

 

 

まず私から趣旨説明。5分のはずが10分も話してしまいました・・・。

 

以下の三つの基本ルールのもと、対話を進めていきましょうと伝えました。

・誰でも参加できること

・誰でも発言できること

・発言を否定しないこと

 

話題提供者は、金沢大学名誉教授の中村浩二さん。

 

なぜ生物多様性が大事なのか?それは私たちにさまざまな恵み(生態系サービス)をもたらしてくれるからです。ただ、石川県では少子高齢化がすすみ人による管理が難しくなり、生物多様性の劣化が進んでいます。その解決を目指し、人材育成を中心としたさまざまなプロジェクトを動かしてきました。未来に向けて、①モニタリングと自己評価、②人材育成、③国内外への発信、④資金が重要であると提案されました。石川県をはじめとしたさまざまな現場で長年にわたって、人の暮らしと生物多様性について実践してきた中村先生ならではの、詳細かつ迫力のある報告でした。

 

話題提供を受け対話を開始。私の学生が作成した記録をもとに、対話の様子をお伝えします。

 

Aさん(能登マイスターOB):獣害問題が大変で、調査で電気柵が役に立たない状況であることが分析された。高齢化で設備維持が困難な状況です。祭りの伝承が困難な集落もあり、10年前から集落の衰退という厳しい現実に向き合っています。

 

Bさん:人の暮らしと生物多様性というテーマに惹かれて参加しました。自然が自然をコントロールしているし、人間の行動が自然をコントロールしている。生物多様性減少も見られる。遺伝子組み換え、農薬の使用によっても生物多様性が減少しているのか。人の暮らしとどう連携していくのか。自然に関心を持っていない人は自然とのかかわりをどのように思っているのか知りたいです。

 

Cさん(農家):過疎、少子高齢化の理由は高度成長期に国の政策の中で、核家族、減反政策のせいではないでしょうか。後継ぎがいなくなることを国が誘導している。親と子が離れると、地域のコミュニケーション・絆の衰退につながると考えています。

 

Dさん(高校生):女性がより働きやすい社会ほど、子どもが減少しているのではないだろうか。教育する立場の人間はSDGsを理解しているのでしょうか、伝えるときにどのようなことを意識しているのでしょうか?

 

Eさん(農家):有機農業20年以上取り組んできました。Dさんの問いに対しては、個人差があると思います。私は、昔から、環境に対して問題視していました。5年後からどんどん土壌が改善してきました。丈夫な作物ができるようになってきました。お金、知識がない高齢者でも何か貢献したいという人がいます。何ができるかと言えば、有機農業だけではなく、もっと簡単なことから始めることもできると思う。

 

Fさん(金沢大学院生):小学校の非常勤講師の経験があり、そこから言えることは、正直、SDGsはやっている暇がありません。教科書を終えることで手いっぱいです。生物多様性について、野菜が高い、マグロが通年食べられる。私たちはお金がないから安い方を買ってしまいます。お財布事情と生物多様性を考える気持ちの葛藤があります。

 

Gさん(大学教員):授業でも人口減少が問題といっているが、ネガティブにとらえるだけでいいのでしょうか?ポジティブに考えると、人口減少が生物多様性を良くしているかもしれません。人口減少で担い手が足りないと言っていますが、本当に担わなければならないものなのかどうか?たとえば、江戸時代はお祭りがシンプルでした。明治、昭和になると段々と派手になってきました。今後はスリム化していく必要があるのではないでしょうか?人口減少の中で、何を残していくのか選択する必要性があると思います。ロボットに任せるものは任せる。

 

Hさん:人口減少により、お祭りなどに女性が参加しやすくなっています。性別による区別が段々となくなってきました。女性も地域に入りやすくなってきています。今だからこそ出来ている状況があると思います。

 

Iさん(林業): ボランティアでは続かないので、自伐型林業をしています。自伐型林業は小さな林業ですが、美しい森をつくる活動でもあります。森と人をつなげていく活動をしていきたい。自伐型林業で本気のSDGsをやっているという自負があります。

 

Jさん(中学校教員):中学生に何か伝えようと思って参加しました。経済成長、環境問題、里山里海と、時代によって取り組むべき課題は変わってきています。10年前と比べて、今の教科書の方がSDGsなど環境問題に対するコンテンツのボリューム膨らんでいます。中学生の方がその問題に目を向けています。大人が悲観するべきではないと思います。戦後の荒れ果てているところから発展させた人々がいます。今生きている人がどうゆう風に生きていきたいかを考えることが第一歩だと思います。五郎島金時を選ぶという選択は、金沢の農家のことを考えることであります。大人が学び続ける姿勢が大事。

 

石川県立図書館副館長:県立図書館は知の広がりと多様性を重んじていますが、今回のカフェはその理念と一致する取り組みであると思いました。生物多様性については老若男女の多様な議論をすることが重要。多様な市民の議論により、明るい未来がひらけてくるのではないでしょうか。図書館にいろんな人が来てくれるのが嬉しい。高齢者の隣で若い人が一生懸命勉強をしています。無意識的にコミュニティが形成されています。昔からの知恵を伝えることが現役世代の義務だと思います。県立図書館の75%が能登ヒバで作られています。伝統工芸品もたくさん使用しています。こうしたことは行政の責任です。

 

中村浩二さん:少子化に対して予算を沢山出しても、本当に効果が出るのかは分かりません。もっとしっかりモニタリングする必要がある。たとえば、空き家をもっとしっかり実態調査する必要があります。分析して対策していく。そして、お金を使って人材育成。皆さんがどのような意見を持っているかが大事です。

 

井上尚子さん(いしかわ自然学校):まずは自然を好きになってもらうこと。

 

 

老若男女の方々のそれぞれの現場での経験や考えなどから、少子高齢化や日々の暮らしと生物多様性の関係などなど、対話がつながっていきました。人口減少が悪いことなのかという問いや、最年少の高校生から大人はSDGsとか言っているけど、本気で何かしようとしているのか?といった問いもあり、対話は尽きない感じでした。ちょっと時間が短かく消化不良だったかもしれません。

 

当初、定員は対話しやすさから20名程度としていましたが、関係者のみなさんのお力で、参加者がどんどん増え、結果的にはスタッフを含めて約50名という人数となりました。初めての試み、初めての会場ということで、参加者や関係者には、色々と不便をおかけしたこともあったかと思います。発言したくても発言できなかった人もいたと思います。今回の発言者は10名でしたが、もっともっと多くの人に話をしていただき、そのお話を聞いてもらいたいと思っています。思っていたものと違うと感じた人もいるかもしれません。

今回の経験を踏まえて、改善できるところは改善していこうと思います。

 

図書館ならではということで、生物多様性の関連図書を並べていただきました。手に取っていただく時間を十分に取れず、もったいなかったです。

 

 

当日のアンケート結果については、改めて報告します。

 

これからも、ゆるく繋がりながら、大事なことを話し合っていきたいと思います。

 

関係者のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました。

 

これからもよろしくお願いします。

いしかわ生物多様性カフェはじめます(第一回 2023年9月29日)

人の暮らしと生物多様性について、コーヒーなどを飲みながら、市民と専門家が対話する場としての「いしかわ生物多様性カフェ」をはじめます。

対話を通して、生物多様性を活かした石川の未来を考える機会、生物多様性がテーマのネットワークをつくりたいと考えています。

当面は、2ヶ月に一度程度の間隔で開催します。

 

第一回

【話題提供者】中村浩二・金沢大学名誉教授

【テーマ】生物多様性から考える、いしかわの現在と未来

【日時】2023年9月29日(金)18:30〜20:00

【場所】石川県立図書館 食文化体験スペース(対面のみです)

【対象】どなたでも参加できます(参加費無料)

【定員】20名程度

【主催】金沢大学先端観光科学研究所 菊地直樹研究室

【共催】石川県立図書館、いしかわ環境パートナーシップ県民会議(いしかわ自然学校)

【協力】石川県立大学 上野裕介研究室

 

 

【申込方法】

参加をご希望の方は、以下の申込フォームから必要事項をご記入の上、お申し込みください。なお、当日の受付も可能です。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf00pgu2KO1v857JpO3okxLyRuQeC7x1SJ5CfW-5pTRSRP4Zg/viewform

 

 

 

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