いしかわ生物多様性カフェ

いしかわ生物多様性カフェ

第四回いしかわ生物多様性カフェ アンケート結果

データを示すだけで特に分析はしていません。

一般参加者数34名

回答者数:30名

回答率:88.2%

 

①年齢

 

10代:6.7%(2名)、20代:13.3%(4名)、30代:6.7%(2名)、40代:20.0%(6名)、50代:26.7%(8名)、60代:10.0%(3名)、70代以上:13.3%(4名)

 

 

 

 

 

②性別

 

 

男性:30.0%(10名)、女性:70.0%(20名)

 

 

 

③職業

 

 

会社員:13.3%(4名)、公務員:3.3%(1名)、教員:13.3%(4名)、自営業:16.7%(4名)、主婦/主夫:6.7%(2名)、パート/アルバイト:0.0%(0名)、学生:20.0%(6名)、無職:10.0%(3名)、その他:16.7%(5名)

 

 

 

 

④カフェのことを知った情報源(複数回答)

 

チラシが3.4%(1名)、菊地直樹のサイト/フェイスブックが10.3%(3名)、いしかわ自然学校が6.9%(2名)、クチコミ31.0%(9名)、金沢大学のアカンサスポータルが31.0%(9名)、ダイレクトメールが31.0%(9名)でした。

 

 

 

 

 

⑤参加回数

 

 

初めてが50.0%(15名)、二回目が10.0%(3名)、三回目が10.0%(3名)、四回目が26.7%(8名)でした。

 

 

 

 

⑥満足度

 

大変満足:42.3%(11名)、満足:50.0%(13名)、どちらともいえない:0.0%(0名)、あまり満足ではない:3.8%(1名)、満足ではない:3.8%(1人)

 

 

 

由回答には以下のような言葉が寄せられました。

 

・自然は脅威。能登の方で、まだ住み続けたいという方々は、たぶん自然の畏れを知っているし、受け入れているのかもという視点を得ました!!。私は怖くて住みたくない。そもそも日本人は「無常」という仏教哲学を受け入れている。

・研究者だけではなく、学生、一般人も発言できたこと。

・色々な意見・知見が聞けてよかったです。

・皆さんと一緒に同じ話題を考えて話し合うことが好きです。

・多様な方々が参加されており、多くの視点からの話を聞けたから。

・幅広い年代の方々から意見交流する機会は中々ないから。

・風力発電−鳥の事故からエネルギー1つにしても”これから”を考えていくことができると感じた。

・もっと話がしたい。

・参加者のひとつのコメント・意見に、別の参加者のコメントが次々と連鎖するというところが知的な刺激を喚起した。

・色々な人がいて、色々な視点から自然を見ることができました。

・普段交流のない人のお話を聞けた。

・知的好奇心がくすぐられました。

・自分の意見 頭を使う。みなさんの意見を聞けるのも良い。風力欄開発バードストライク、農業耕作放棄、小規模発電、土壌改良、スマート農業、楽しんで。

・参加者の発言・コメントがとてもよかったです。菊地先生のファシリテーションがとても上手で勉強になりました。

・いろんな人がおられて意見が聞けた。

・毎回、色々な世代の意見が聞けてよい。

 

 

 

⑦参加して生物多様性と人の暮らしについて、考え方は変わりましたか

 

 

大きく変わった:16.0%(4名)、変わった:52.0%(13名)、どちらともいえない:16.0%(4名)、あまり変わらない:8.0%(2名)、変わらない:8.0%(2名)

 

 

 

由回答には以下のような言葉が寄せられました。

 

・(考えがあまり変わらないのは)歳のせいかも?

・多様な考えを聞くことで刺激されました。

・前より生物多様性に注目しました。

・震災時における生物多様性の話は、自分では考えつかなかったから。

・エネルギーの地産地消、循環型社会など新しい話題が多かったから。

・自分の目指す暮らしの方向性がより確かになりました。

・様々な世代の方々から多様な意見を聞けたため。

・これまで多様性カフェで学んだ知識に加え、新たに自分の考えを+αできた。良い時間になった。廃棄物に関する新しい利用法についても面白かった。

・自分が知っていたエネルギー発電のやり方とは別に知りたい発電方法などがあっておもしろかったです。

・だいたい思っていた通りな感じでした。

・大人の哲学が必要だと感じました。

・意識するようになった。自然から得られるもの、昔からのものを大切にしたいと思う。

・自分で作った経験は大事というのは心に響きました。

・立場が違うと考え方が違うので。

・多様性カフェにふさわしい多様な意見がでて、また否定されることもなく、こりかたまった意見もなく、すんなりと頭に入る感じでした。太田さんのカメムシの話も深い!と感服しました。

・”食”を考えるきっかけになりました。

 

 

 

 

⑧今後も参加したいと思いますか

 

参加したいと思う:100.0%(28名)、思わない:0.0%(0名)、わからない:0.0%(0名)

 

 

 

 

⑨興味があるテーマ

 

・木に関すること。地震後の能登の生態系。

・里山の回復。

・日本の食糧自給率を上げるには?(日本の農業政策について)

・金沢市の生物種(外来生物種)の侵入とか。

・農林水産業。日本の過去・現在・未来。日本の現在と大きく異なった世界の現状(日本の未来の指針となるような)。

・外来生物

・人と自然の共生

・エネルギー

・石川で実際に農林水産業をされている方々とのお話し会。

・今後の日本の農業のあり方。

・生物多様性。何かいっそマニアックな生き物ネタも面白いかも、と思いました。

・風力発電。自分の消費するエネルギー。自分が与える生態系への影響。

・人と自然の関わり方

・国内外来種について。

・土壌改良

・「善き生」について

・林業、竹林、山が農業耕作地と同様に荒れている。人が思わないのか、若い人の興味がSNSやメディアばかりになって人も弱くなっている。

・開発と生物多様性保全

・生物多様性と音響調査について。

・生物の保存政策

・ゲノム食品のお話を・・・?

・一般の方が”生物多様性とは?”に興味を持つための入り口の”自然史資料館”について、全国各自然史博物館の活動等を知りたいです。

 

 

 

⑩全体としての感想として、以下の声が寄せられました。

 

・いろんな方が声をあげていて、いろんな考えを聞けて嬉しかったです。明るく生き生きしていて、石川の未来、明るいと思いました。ありがとうございます。

・若い方も発言しやすい空気が素晴らしいと感じました。

・色々な立場でも発言できる雰囲気だったと思う。

・よい雰囲気で良かったです。

・地震によってもたらされた傷害は、家と生活を壊れたのは1番辛い傷害ではない。被害した後、皆さんに無視されたのは1番辛い傷害だと思う。今日、皆さんと一緒座って支援を考え交流するのはよかった。

・狭い世界の中で狭い視野になりがちだったので、色々な視点から幅広いお話が聞けて大変ありがたかった。あと、自分が60代とのこともあって、もうあと少ししか先がないと、できることもあまりないと諦めがちだったのを少し反省した。経験や話しは先につなぐことができる。たすきは渡して行けるから、今やこれまでの自分のしてきたことは無駄ではないと思えた。

・今回はワークショップ方式だったため、自分の興味のあるテーマについて改めて考えるきっかけとなったので良かった。生物多様性について興味のある人と関われるということで、これからも参加しようと思っています。

・とても興味深い話を様々な年代の方々から聞けて、とても楽しかった。

・皆様意欲的な方が多く、とても参考になる意見が多かったです。無理だと思いますが、託児所があれば、もっと参加できる人が増えると思います。

・若い世代の方々に積極的に意見を聞かれたのが良かったと思いました。話しやすい雰囲気もよかったです。ありがとうございました。

・初めての形式だったが、普段より多くの方の意見を聞くことができてよかった。ただ「してみたいこと」についての話し合う時間があまり残っていなかったのが少し残念だった。書いた案をテーブル内だけでも共有する時間があればよかったと思う。

・ザックばらんに色々な方とお話しできて刺激されました。ありがとうございました。

・生物多様性に加えて、多様な人々が集うこの回はとても楽しかったです。同じテーブル内で話時間がもう少し欲しかったです。半年間、ありがとうございました。

・もっと多くに対応できる発電方法をたくさんつくれたらいいと思いました。

・震災後の特殊な状況だったので、意見が片寄ったかと思いますが、特殊だからこそのアプローチの仕方を考えさせられました。

・参加者の方々も多様性があり(笑)、かなり興味深かったです。

・よかった。

・どんなテーマでお話があるのかで、広くそしてより身近なテーマで目が覚めて楽しく聞かせていただきました。

・全員一律「さん」づけで呼び合ってもよいかも?と思いました(今のままでもOKです)。

・学校行事と林業の経験をつなげる!!(高校生)

・面白かったから、他の方のお話を聞けたので。又行きたいと思います。

・いろんな人のお話を聞いて大変刺激を受けました。楽しかったです。

・カフェに参加する人たちは「ほっとけない」精神をもった方々ですね。人のために動くことができる人が多様性のために必須だと思います。自分のことしか考えない人間にこそ、このカフェの精神を伝えたいものです。そういう人間が頭ごなしに他人を否定するくせに、自分をごり押ししますから。

・”ほっとけない”と考えている人がけっこういらっしゃる。1回で終わらず継続が大切かと考えます。

 

 

 

第四回 いしかわ生物多様性カフェ報告

第四回 いしかわ生物多様性カフェ記録

開催日時:2024年3月8日(金)18:30〜20:30

開催場所:石川県立図書館研修室

テーマ:わたしとあなたが「ほっとけない」こと(ワークショップ)

参加者数:42名(一般参加者34名+スタッフ・関係者8名)

 

【テーマ】

今回、話題提供者はいません。

テーマは

わたしとあなたが「ほっとけない」こと 

生物多様性や自然、生きもの、能登半島地震など、わたしとあなたが「ほっとけない」ことを話し合いました。

 

付箋1枚につき1つの意見を書いてもらいました。

 

・黄色の付箋には「ほっとけない」こと

 

・水色の付箋には「これからしたい」こと

 

・一人で何枚でも書いていいです

 

 

とてもたくさん集まった付箋を整理したところ、【ほっとけないこと】は以下の7つのグループに分けることができました。

【ほっとけないこと】

・人

・食

・経済

・生物・自然

・農業・林業

・調査・研究

・防災・震災

 

 

【してみたいこと】は5つのグループに分けました。

・環境

・生物 里山・自然

・農業・林業

・教育(社会)

・震災

 

 

これらの付箋の中から、いくつか選び、付箋を書いた人に書いた理由や背景、意見などを話してもらいます。

いよいよ対話開始。

対話の様子をお伝えします(金沢大学経済経営学系の原田魁成さんが作成した記録をもとに、まとめたものです)。

 

【ほっとけないこと】

どれにしようか迷いましたが、一枚目は「風力発電の羽に当たって死んでしまう鳥 ほっとけない」の付箋を取り上げました。

 

・(大学生)能登地方で風力発電の風車が乱立しています。他方でその風車に追突して命を落とす鳥(バードストライク)が発生する等、生物多様性とは反対の出来事が起こっています。

 

・中能登町では鳥の繁殖が活発な地域があったが、風力発電設置に伴い、ハゲ山になってしまった地域もあります。

 

・海側の風力発電所は渡り鳥の移動路上にあるため、バードストライクがさらに深刻です。

 

・風力発電で自然エネルギーを活用する方法もあるが、今では「塩と水」で発電する方法もあります。災害ごみ・生活ごみ等を燃焼することで発生する「炭」からも電力を生み出せる。リンゴの残りやカキの殻など、ごみと思われるものも適切な処理によって立派な資源になりえます。

 

・風力発電の設置計画が地震の関係で中断しています。他方で反対意見を主張する住民が市外へ流出してしまっているが故にここぞとばかりに設備が建てられるかも…気を付けないと。地域外の人も色々と意見を言えるのではないでしょうか。

 

・風力発電を設置して電気を作っているけど、そもそも地元で使われていないのでは。

 

菊地:エネルギーは、地熱や水力、風力など地域の至る所にあります。能登半島地震を経験し、また今日の対話を通して、地域にあるエネルギーを地域レベルで活かしていく、エネルギーの地産地消の仕組みづくりが必要だと実感しています。

 

・「能登の里山里海」は世界農業遺産に登録されていますが、そのブランドが全然活用しきれていません。

 

農業の話題にになったので、農業・林業の付箋から「農業で自立を目指す若者たちの環境(状況)が非常に厳しいこと」と書いているものを取り上げました。

 

・農業で若者が自立して生活するのは難しい。珠洲市では高齢化に伴い耕作放棄地が増えてきていて大変でした。他方で自分もお米を3年間育ててみたけど…すごく大変!農薬を使用せずに育てようとするとカメムシなどいろんな生物と格闘しなければならない。これじゃ若い人も農業をやりたい!とは思えない。他地域では、耕作放棄地を買い取って、そこで若い人が安定した収入を得つつ、農作物を生育するビジネスモデルがあるようなので、それらを能登でも応用出来たらいいと思います。

 

・(大学生)「ほっとける」農業みたいな、極力自力での作業を最小限にしつつ、自然や最先端技術にお任せした農業が出来るといいかも。

 

・カメムシには活性化する時期が存在します(7/25~8/10頃)。その頃に稲穂を出すとカメムシが喜んで来てしまうので、時期をずらして栽培すると農薬などでも栽培できます。また、蜘蛛はカメムシを食べてくれかつ農作物には害をなさないのでよい。

 

菊地:スマート農業のような「ほっとける」農業もあれば、生態系の機能をうまく活用した農業もあります。地域の特性や人によって、色々なやり方があるのではないでしょうか。

 

続いて「土に戻すことができるものをゴミとして捨ててしまうこと」という付箋を取り上げました。

 

・土に還せる生ごみ等を燃やしてしまうのはもったいない!私の家族では資源の再利用の可能性について検討しています。今日のカフェで、土に還す以外にも「灰」にするという活用方法があることを知り、すごく勉強になりました。長年耕作してきた農地を返したことをどう考えたらいいのか。引き継いだ次の人から「いい土ですね」と言われたりする。自分ができなくても次に繋がればいい。自分の視野が狭かったことを知りました。

 

・京都から参加。京都の亀岡等では「近郊農業」というスタイルに需要があります。龍谷大学はその需要を汲み取り、「農学部」の設置に至りました。

 

・自分で野菜を作ることで視野が広がりました。例えば用水路がどこにあるかとか、この辺りに焚き木があるかなどを見るようになりました。手作りで作った野菜は新鮮ですごく美味しい。これも自分で菜園をすることで初めて分かったことです。

 

菊地:兵庫県豊岡市に住んでいた時、市民農園を借りていました。とても下手だったので、農家の人に半ば呆れられながら栽培していました。それでも自分で作った野菜は、気持ちの問題ですが、とてもおいしかったです。豊岡にいた時、こうした農家とのつながりがあり、災害があってもなんとか生きていけるという安心感がありました。ただ今では自分の暮らしがシステムに依存しすぎていて、そうした安心感は薄れています。システムに依存しすぎない暮らしの大事さを実感しています。

 

・能登には非常に優れた自然や資源がたくさんあります。能登の良い所や失ってはいけないことなどを考え直す必要があります。

 

・生物好きとしては、地震によって生態系がどう変化してしまうのか失礼かもしれないが非常にワクワクする。生態系は攪乱があってもその変化に順応するように変化していくので、それを研究するのが興味深い。

 

・地元に住む釣り好きの方が、地震によって隆起したことで新しい釣りポイントが出来た可能性があると言っています。

 

菊地:今回の地震は数千年に一度の頻度で発生する地球活動が、私たちが生きているときに足元で起こったもの。地震によって生態系は変化していきます。撹乱が起こります。このこと自体は自然現象ですが、問題はそこに人が住んでいて暮らしがあることです。暮らしがあると、自然現象は災害になります。撹乱と災害は関係していますが、別の問題として考える必要があるのではないでしょうか。

今回の地震によって起こった地殻変動は、ジオパーク(大地の公園)としての価値があると言えるかもしれません。

 

 

【してみたいこと】

・長年、植物調査を続けてきました。重要なデータを集めてきたが、非常に年数のかかる地道な仕事で使命感が必要。ただやはり後継者がいません。どうしたら良いか。

 

・ホテルを経営していて、太陽光を活用したエネルギーを利用しています。楽しいものには子どもたちも興味を持って色々質問したり、駆け寄ったりして来てくれます。今どきの子は考える力が欠如している…などと言われますが、スマホ等から得る情報が多種多様で子どもたちの熱意がそちらに向いてしまっているだけ。楽しいと思ってくれれば興味を持ってくれるので、そうした企画も重要だと思います。

 

・(大学生)里山ツーリズムなどをしてみたい。

 

・里山ツーリズムとして、人の流れを呼び込む工夫は良いと思う。ただし、里山は適切な管理をし続けないと荒れ放題となってしまうため、維持する体制も重要。誰がどのように維持しているのか考える必要があります。

 

・(高校生)小学校や中学校では芋堀り体験や花を植えるなど、「農業」に関連する行事はあるが、「竹林」に関する行事などもあったらよいと思う。変な遠足行事を入れられるくらいなら文化を守るあるいは継承するための学校行事があった方がいいと思います。

 

菊地:今日は小さなコミュニティという単位が重要だということを確認できたように思います。エネルギーや食など、システムに頼りすぎず、足元にある資源を活かしていくことが重要で、そのための技術や知識も色々とあることも確認できました。

 

2時間では少し時間が足りなかったようです。参加者のみなさんは、まだまだ話したいことがあったようです。

せっかく書いていただいたにもかかわらず、取り上げることができなかった付箋も多く申し訳なかったです。

ファシリテーターを務めた私の能力不足でした。

 

石川県立図書館で集めてもらった書籍。能登半島地震の本などが並んでいます。

いつもありがとうございます。

 

第一回から第三回までアンケートの比較

第一回から第三回までのカフェのアンケート結果を比較しました。

詳しい分析はしていません。データを示しているだけです。

 

①年齢

 

若い人の比率が増えています。

 

 

②性別

女性が約3分の2ですが、男性の比率が少し増えています。

 

 

③職業

 

 

大学主催のカフェという性格のため、学生の参加が多くなっています。

 

 

④満足度

 

回によってばらつきはありますが、8割から9割以上の参加者が満足していると答えています。

 

 

⑤考えの変化

 

 

回によってばらつきはありますが、5割から7割近くの参加者が変化したと答えています。

 

 

⑥リピター志向

 

 

どの回も9割を超えています。

 

第三回いしかわ生物多様性カフェアンケート結果

データを示すだけで特に分析はしていません。

一般参加者数33名

回答者数:32名

回答率:97.0%

 

①年齢

10代:3.1%(1名)、20代:28.1%(9名)、30代:9.4%(3名)、40代:18.8%(6名)、50代:25.0%(8名)、60代:6.3%(2名)、70代以上:9.4%(3名)

 

 

②性別

 

男性:34.4%(11名)、女性:65.6%(21名)

 

 

③職業

 

会社員:13.3%(4名)、公務員:10.0%(3名)、教員:10.0%(3名)、自営業:3.3%(1名)、主婦/主夫:3.3%(1名)、パート/アルバイト:16.7%(5名)、学生:26.7%(8名)、無職:3.3%(1名)、その他:13.3%(4名)

大学の研究室主催のカフェだからでしょうか、学生が一番多くなっていますが、さまざまな職業の方が参加していることがわかります。

 

 

④参加回数

 

初めてが43.8%(14名)、二回目が25.0%(8名)、三回目が31.3%(10名)でした。

 

⑤満足度

大変満足:37.5%(12名)、満足:46.9%(15名)、どちらともいえない:9.4%(3名)、あまり満足ではない:3.1%(1名)、満足ではない:0.0%(0人)

約84%の参加者が満足(大変満足と満足を合わせた数値)したと回答しています。

 

由回答には以下のような言葉が寄せられました。

 

・自分も気になっていた餌付け問題に関して、具体的な事例であるとか、賛成・反対の双方の意見を聞けて、自分の考えにも影響をもたらすものであったから。

・今、自分が参加している取り組みにすごく参考になったため。

・意識しない(よく知らない)法律視点の生物テーマ

・保護と管理、餌付け問題、指定されないと保存法に値しない、線引きの難しさ。人間が生きるために生物資源は必要。どう関わっているか教えられる機会を得ました。

リラックスできた。もちろんトピックも楽しめた。

・普段あまり関わらないようなみなさんのお話が聞けたり、高橋さんのお話を聞けてよかったです。

・保護されている動物、駆除されている動物(食べられる動物)線引きは難しい課題だなと思います。

・明らかに詳しいプレゼンをくれました。

・もっと突っ込んだ内容を期待したい。

・日米の自然公園の違いははじめて知りました。大変勉強になりました。

・自分の知らないことを知れたから。

・法律と聞いたので、少し堅苦しい感じかと思っていたが、親しみやすかった。

・生物多様性の知識を復習させてもらいました

・高橋先生の講演と受け答えが良かった。もっと時間が欲しい。

 

 

⑥参加して生物多様性と人の暮らしについて、考え方は変わりましたか

 

大きく変わった:3.3%(1名)、変わった:43.3%(13名)、どちらともいえない:20.0%(6名)、あまり変わらない:26.7%(8名)、変わらない:6.7%(2名)

約47%の参加者が変わった(大きく変わったと変わったを合わせた数値)と回答しています。

 

由回答には以下のような言葉が寄せられました。

 

・視野が広がった。色々な方々の考えが聞けて面白い。

・奈良公園の鹿や、池の鯉など、野生生物への餌付けには良い印象をもっていたが、その生物の生命維持の力を損なったり、周囲の迷惑になったりと、リスクもあるということがわかったから。

・生物・環境保護について自分の認識、考えを改めることができた。

・大変勉強になりました

・命は自然で守られている。

・いろんな立場の人からの話を聞くことができる。

・色々な視点で自然や生き物・環境と自分との関わり合いを学びたいと思うようになりました。

・「生物多様性」がなぜ重要か、考えてみる、調べてみるきっかけになった。

生物に関しての法律を今まであまり意識せずに生活していましたが、今回のお話を聞いて、見方(守られているなど)が増えたような気がします!!

・普段から、このテーマについて考えているから。

・もともと知識がある。

・「私たちは野生生物を食べている」という視点がおもしろかったです。

・興味関心を持つ方が少なすぎる

・日常生活の中で、もっと環境を保護するのを考えるべきです(例えば、使い捨ての物はなるべく使わないようにする)。

 

 

⑦今後も参加したいと思いますか

参加したいと思う:93.3%(30名)、思わない:0.0%(0名)、わからない:6.7%(2名)

今後も参加したいという回答者が9割を超えています

 

 

⑧興味があるテーマ

 

・今回のお話を聞いて、日本の国立公園について興味を持った。私の地元も伊勢志摩国立公園に指定されているが、どういう意味があって視点されているのかすら知らず気になったから。

・ヒトの食卓の変化と多様性

・人(里山里海)がたずさわることで、自然はより豊になるのか。

・自然と共生

・北陸の自然

・地震や災害時に野生動物は事前に察知?どこへ 関西の友人がアライグマの動画を見せてくれました。こっちは穴グマの方が多い。住み分けしている?

・昆虫

・合意形成

・汚染、または汚染を綺麗にする解決

・クマ問題

・気候の問題と生物

・植物、文化(芸術、食etc)、経済、法律

・こどものゲーム依存を防ぐには?経済

・野生動物の生息地におけるよそ者の力(里山など)

・里山、希少種

・歴史、法律、ビジネス、外来種減らすためにはなど。野外活動。

・生物多様性と教育(学校)、生物多様性と開発(商業主義)、生物多様性と観光、生物多様性とノラ生物

・ゴミの回収・処理する方法と環境保護の関係。地球の温暖化に支援する方法(一人でもできること)。

・5年後、10年後、19年後の石川県と金沢,能登大震災からの復旧、復興を考える,石川、金沢の子ども、若者に何を期待するか。

 

⑨全体としての感想として、以下の声が寄せられました。

 

・今回、法律関係の少々固い話だったが、スライド最後から2番目の絵がすごく可愛くて味わい深かった。地震で家の内外で被害があり、不自由な生活が続き、余震もたびたびで気持ちが落ち込んでいる中、予定通り第3回が開催され、参加出来、少し気が晴れました。ありがとうございました。荒れた家の中で滅入っているより、若者の顔をみて話をきくだけでも気持ちが少し明るくなります(不謹慎?)。

・野生生物の保護および管理について、保護リストのような「ただ呼応すれば良いだろう」というような、漠然とした枠組みを作れば最適化できるという湯なものではなく、法律や人間の都合など、さまざまなものが複雑に交錯していることを考慮する必要があることに気づくことができた。

・様々なバックグラウンドを持った人たちが、それぞれの意見を率直に話せる、良い話題提供の場だと思った。

・法律系による整理が興味深かったです。初めて発言できたのでうれしい。連続して参加している方とお話しできて、新たなつながりができた気がします。

・学生の方や先生方の参加も多く、質疑応答が興味深かったです。

・餌付けについて、いろんな意見が聞けた。

・自分は野生・あるいは人の管理下にない生活圏の生物にエサをやらないことをフツーに思っているが、やる人もいることは知っている。しかし、そのような人々がどういう動機なのか、あまり考えたことがなかった。

・人が手を加えて保護した管理区だけでのみ生きる生物は野生といえるのかなと思えました。逆に人が手助けしないと絶滅してしまう生物は、すでに絶滅したものと考えられるかも。全ての生き物を大切にする気持ちは皆持ち続けなければいけないですね。

・人間が生物(動物)にエサをあげていいのか、植物をコントロールしてよいのか、という問いだけでも話はつきませんね。こういった話題は、このようなカフェでゆるーく話すといいですね。

・もっといろんな考え方を聞きたかった(市民の方の)。

・自分の知らないこと、考えを深められた。

・現在、勤務先が避難所になっているため、「法律」が本来の目的のために運用されるための人の部分に疲れはてていて、今日のテーマは少し疲れる内容でした。

・興味深いプレゼンで、新しい情報色々聞けるようになった。

・種が絶滅するのは、地球の歴史から見ると(ごく当たり前のこと)当然なので、生物多様性を守るという考えは、人間のエゴでしかないのでは。

・高橋先生のお話がおもしろかったです。わかりやすかったです。こういう分野の法律をよく理解できていませんでした。よい機会でした。是非とも続きをお願いしたいです。ありがとうございました。

・餌付け問題など具体的な話になると議論が活発になりよかった。餌付け等、人が野生生物にかかわる時に、法でおさえつけるのは真の解決にならないと考える。知識、マナー、ルールなどが普及し、生物多様性に貢献する関わりが文化として根づくといい。

・知らない情報も知り、ビックリすることありました。ありがとうございます!!※地震と生物に関しては、先生がおっしゃられた「おもしろい」というのは、まだ適切な言葉ではないと思います。ただ、メンタルコーチは「罪悪感?」「不謹慎?」やることやったら自分が楽しむことを否定しません。学び多かったです。ありがとうございました!!

・中国では象牙は禁止ですが、象牙の違法取引は完全に停止されたわけではないです。

・法と文化との関わりもあると思った。今あるものを活かす。なぜ生物が必要か?人間の手による・・・|人工的なこと・・・。生息地の保護、日本の国立公園とアメリカの違い。自然公園に対して。

・勉強になりました。

・初めて聞く私でもわかりやすい説明で面白かったです。

・おもしろい話でしたので、途中退出するのがおしかったです。ありがとうございました。

人間が環境を保護するのは、実は人間のことを救うことだと思います。環境保護(生物多様性も含める)と経済の発展は、利益のかち合いがあるので、ちゃんと強調しなければならないと思います。

・次回ワークショップも楽しみですが、用事で参加出来ないのが残念であります

・次回「私のほっとけない」楽しみです。

 

第三回いしかわ生物多様性カフェ報告

第三回 いしかわ生物多様性カフェ記録

開催日時:2024年1月19日(金)18:30〜20:30

開催場所:石川県立図書館研修室

話題提供者:高橋満彦さん(富山大学)

テーマ:法律は生物多様性を守るのか?

参加者数:43名(一般参加者33名+スタッフ・関係者10名程度)

 

石川県立図書館のスタッフさんに、関連する本を集めていただきました。

 

【話題提供】

高橋さんは、環境法の専門家であるとともに狩猟者でもあり、バードウォッチャーでもあります。現場経験が豊富な環境法の専門家として、国内外の事例を紹介していただきながら、自然に関連する法律を紹介していただきました。

 

まず小魚がダム計画をストップしたアメリカの事例を紹介(のちにダムは完成)。なぜそこまでして野生生物を守るのか?現在、野生生物の大量絶滅が進行していて、大量絶滅の危機に瀕しています。一般的に、絶滅は生息地の破壊、過剰な利用や消費、外来種による影響が要因と考えられます。

沖縄にしか生息しない固有種ヤンバルクイナが絶滅の危機に瀕しているのは、森林破壊が一因ですが、外来種マングースが捕食することも大きな影響を与えています。マングースの駆除事業が進行中です。奄美大島では、アマミノクロウサギという固有種で絶滅危惧種がノネコに捕食されていますが、猫駆除に対しては反対意見が多いです。

 

そもそもなぜ生物が必要なのでしょうか?食料や薬、バイオ資源、生態系が崩れると人にも被害が生じる、文化、見て楽しい、美しいなど、色々な理由が考えられます。私たちは野生生物を食べていますし、野生生物に感謝して利用する文化もあります。一方、イノシシやクマによる被害も生じていて深刻です。野生生物による恵みも災いもありますが、そもそも人間はほかの生物を絶滅させてはいけないんじゃないでしょうか。

 

日本における野生生物関連法の体系。守るものとしては種の保存法や天然記念物。駆除するものとしては、特定外来生物法。鳥獣を保護・管理する鳥獣保護管理法。魚類に対しては漁業法や水産資源保護法。

種の保存法の保護指定は少なすぎるが増やしてはいます。鳥獣保護管理法の目的は、鳥獣の保護と管理、狩猟の取締りを通じて、農林水産業の振興と生物多様性の確保とあります。狩猟鳥獣以外は、原則捕獲禁止で、鳥獣保護区を設定するとあります。狩猟鳥獣は46種類。有害鳥獣等には捕獲許可を出します。特定外来生物法は、生態系、人の健康、農林水産業などへ被害を及ぼす外来生物を「特定外来生物」に指定して、捕獲を含めて防除をします。159種類が指定されています。

 

野生動物を巡る法律は何を定めているのでしょうか?

・保護・保全:とってはダメ、禁猟(漁)期、保護区など

・捕獲する権利の配分・調整:漁業権など

・土地利用のありかた:動物も土地が必要

・動物による害の防止:鳥獣害、外来生物問題

・安全の確保:狩猟安全など

・スポーツの円滑な実施:皆で釣りや狩猟を楽しむ

・文化的要請:動物を巡る地域文化を守る

・動物福祉、動物愛護:残酷な捕獲方法は禁止

 

野生動物に関する法律の課題

・動物種や生態系に関する科学的知見の不足

・希少種保全科学の未発達

・野生動物管理が未熟

・人間社会の変化

・グローバル化

・一次産業の衰退と都市化

・人と動物の関係の変化

 

 

ブレイクタイムでは、周りの人と15分ほど雑談。各テーブルは盛り上がっていたようでした。

いよいよ対話開始。私の学生が作成した記録をもとに、対話の様子をお伝えします。

 

【対話】

Aさん:鳩の餌やりをよく見る。行うのは法的にどうか。

 

高橋さんそもそも動物の餌付けは法律で、一般的に規制されてはない。市町村で条例が制定されている場合はある。例えば、富山市ではカラスにエサをやってはならないという条例がある。去年から、国立公園では餌付けをしてはならないようになった。

ドバトは元々外来生物であるが、伝書バトは戦争中に活躍したという歴史がある。鳩を駆除するとレース鳩協会からクレームがあるといわれるが詳細は不明。以前、広島の平和記念公園に居ついた鳩が大きな問題となった。市町村役場に相談すれば、ドバトを駆除することが可能である。

 

Bさん(大学教員):餌付けは日本ではネガティブに捉えられている。一方海外、例えばイギリスでは、野生動物を庭に呼んで愛でるために餌付けをしている。

 

Cさん(大学生):野良猫への餌やりは、愛でるのはいいけど、ご近所トラブルになる。山奥ならOK。住宅街ではNGだと思う。

 

Dさん:餌やりは不幸な結果しかもたらさないと思う。エサが行き渡らない動物もいる。餌付けを行う人は法律で捕まえて罰金をとるなりすればいいと思う。なぜ、強く規制できないのだろうかと思う。

 

Eさん(自然保護関係者):職場で管理している場所に、勝手に誰かが錦鯉を放した。見回りしていると、鯉やリスに餌やりしている人がいた。厳重に注意したが、何度も餌やりに来ている。個人としては餌やりに反対している。餌やりの線引きは最初からしておいた方がいいのではと感じる。

 

Bさん(大学教員):ネガティブな話ばかりなので、ポジティブな話をしようと思う。北海道のタンチョウの生息数が増加している。それは、国などが冬に給餌しているから。必要であれば、戻って餌を食べられるようになっている。線引きとはいったい何だろうか?コウノトリでも餌やりしていますよね。

 

菊地:今はしていない。個体数が少ない希少種に対してはエサをやって守ろうとするが、個体数が多い動物への餌やりは批判される。保護と愛護の違いも難しいところである。

 

高橋さん:餌付けは国家権力を持ってまで抑圧すべきものなのだろうか?疑問である。哺乳類の研究者は餌付けに反対なのに対して、鳥類の研究者は比較的寛容な人が多い。アメリカのショッピングセンターでは餌付け用の商品が売られている。案外、餌やりが一概に有害とは言えないかもしれない。

 

Fさん(大学研究員):野生動物と飼育生物の境界は曖昧と感じた。種の保存法で法律や保護区を制定すると、その境界線が曖昧であるということが明らかになる。人間は動物と触れ合いたいと思っているため、餌やりしたがるのだと思う。動物とのふれあいを、動物の本能である食欲に結び付けることで、交流を図っている。いろいろなところで餌付け体験ができるのはその理由であり、人間と動物との緩やかなかかわりの場になっている。

 

菊地:野生動物と飼育生物の境界は曖昧かもしれない。例えば、ある特定の動物をターゲットにしたビオトープづくりはどうだろうか?餌付けのように直接的ではないが、行動を変容することにはつながる。動物側に選択の幅はあるが。

 

Gさん(留学生):生物絶滅は生態系環境に影響を及ぼすのか。

 

高橋さん:あるショッピングセンターは谷を埋めて作ったが、絶滅危惧種の生息地を破壊することにつながっている。事前に、調査した時はいなかったが、建設が始まってから存在に気が付いたが、建設は続行された。イオージマクイナは戦争で生息地が破壊され絶滅した。

 

Gさん:能登地震の影響で海の生物は絶滅するだろうか。

 

高橋さん:能登地震の影響はまだはわからない。東日本大震災は希少種生育地の消滅もあり、個体群レベルでは、絶滅もあったようだ。また、三宅島の噴火などでは植物が絶滅している。しかし、自然災害による植物絶滅は自然の一部。ただ、人間が人為的にその速度を変えてしまってはいけない。

 

Hさん(学生):生物保護においてどのような法律があったらいいと考えるか。

 

高橋さん:新たな法律の制定よりも、法律の運用の方が大切。法律は東京で制定されるが、東京の人が考えていることと、例えば北海道の人が考えていることは違う。例えば、熊の問題に関して「熊はかわいいよね」という東京の人と、通学路にクマが出そうなところを通る子どもを持つ親との考え方は違う。地域によって大きく異なる。各地域で個別に対応する必要がある。一方で、北陸にはツグミを食べる習慣があったが、ツグミ類は渡り鳥で保護対象になったので、食べてはいけなくなったが、国際的見地からの保護は必要性だ。

 

Iさん(公務員):生物多様性と再生可能エネルギー(風力発電)の対立は両立できるか。 

 

高橋さん:風力発電の風車に鳥がぶつかる問題。バードストライク。風があるところというのは渡り鳥の道になっている。風力発電所は風のあるところに建設するので、必然的に鳥の通り道である。建設の際にはリスクとベネフィットを考えなければならない。電力の企業は長期間にわたって環境アセスメントをする必要がある。

 

Dさん:銃に対する規制が厳しすぎで、獣害に対する防衛ができないのではないのか。

 

高橋さん:銃を規制にするにあたって、猟銃とそれ以外の銃を一括りに厳しくするのは芸がないと思う。国内の法律は、多数派の意見によって決まる。

 

Jさん(大学教員):震災に対して、どのような貢献ができると考えているか。データサイエンティストとしてできることをやりたいと思っている。

 

高橋さん:震災のせいで山に入る人が減り、野生動物が増えるのではないかと予想している。

東日本大震災の後、狩猟者を対象に震災以降の行動変容の調査を行うと、狩猟をやめた人が増えたことが分かり、実際に鳥獣害が増えた。

話は変わるが、避難所と被災地との2拠点居住の人が増える。法律的には住民票が1つしか持てない。

 

 

いしかわ生物多様性カフェアンケートの自由回答の分析

いしかわ生物多様性カフェで実施したアンケートの自由回答の分析をしました。

アンケートでは「今回のカフェはいかがでしたか?」「カフェに参加して生物多様性と人の暮らしについて、考え方が変わりましたか?」「今回の感想をお聞かせください」という質問で自由回答欄を設けています。それぞれ異なる質問ですが、自由回答全てをデータとして扱い、分析をしてみました。

 

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第一回目

話題提供者:中村浩二さん(金沢大学名誉教授)

テーマ:生物多様性から考える、いしかわの現在と未来(総論)

参加者数:約50名(一般参加者40名+スタッフ・関係者10名程度)

 

 

図1は自由回答をKJ法によって分析したものです(私の手動分析です)。

 

 

図1

 

 

参加者・意見・対話の多様性に関する記述が多く、それらがネットワーキングや考えるということにつながっているという結果となっています。
また、楽しかったという記述も目立ちました。対話の場としての楽しさが評価されているようです。

 

 

図2は同じデータを使ってテキストマイニングしたものです。

 

図2

 
 
テキストマイニング法を用いると大まかな単語の出現傾向は把握できます。
生物多様性、しゃべりやすい、知り合える、話し合う、聞けるといった単語が目立っています。

 

 

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第二回目

話題提供者:高田知紀さん(兵庫県立大学准教授/兵庫県立人と自然の博物館主任研究員)

テーマ:妖怪から生物多様性を考える−自然という恵みと災い

参加者数:約50名(一般参加者42名+スタッフ・関係者10名程度)

 

 

図3は自由回答をKJ法によって分析したものです(私の手動分析です)。

 

図3

 

妖怪という面白さに関する記述が多く、妖怪から新しい視点を獲得したり、考える契機になったという記述も見られます。
一方で、参加者の多様性やカフェという場での対話については、1回目と比べると多くのない結果でした。

妖怪というテーマの面白さに参加者が魅了されたといえるかもしれません。

 

 

 

図4は同じデータを使ってテキストマイニングしたものです。

 

図4

 

 

妖怪、生物多様性という言葉が大きく、ひきつける、おもしろいという動詞、非科学、ワークショップ、防災という言葉も目立っています。

 

 

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今回、KJ法とテキストマイニングを使った結果を示しました。

 

KJ法で分析すると、私の能力では、おおよそ半日ぐらいの時間が必要です。

一方、テキストマイニングだと、わずか数秒で結果が出ます。

コストパフォーマンスでは、圧倒的にテキストマイニングですが、昔ながらのKJ法も一つ一つのデータと向き合いながら考えていくというよさを改めて認識しました。

 

これからも両方を手法を使いながら、カフェの取り組みを自己分析し、よりよい場として発展できるようにしていきたいと思います。

 

よろしくお願いします。

第三回いしかわ生物多様性カフェを開催します

第三回いしかわ生物多様性カフェを開催します。

【話題提供者】高橋満彦さん(富山大学教授)

【テーマ】法律は生物多様性を守るのか?

【日時】2024年1月19日(金)18:30〜20:30

【場所】石川県立図書館 研修室(文化交流エリア2F) ※対面のみです

【対象】どなたでも参加できます(参加費無料)

【定員】40名程度

【主催】金沢大学先端観光科学研究所 菊地直樹研究室

【共催】石川県立図書館、いしかわ環境パートナーシップ県民会議(いしかわ自然学校)

【協力】石川県立大学 上野裕介研究室

第二回いしかわ生物多様性カフェのアンケート結果

第二回いしかわ生物多様性カフェのアンケート結果(速報)です。

データを示すだけで特に分析はしていません。

一般参加者数:42名

回答者数:39名

回答率:92.9%

 

①年齢

 

10代:7.7%(3名)、20代:15.4%(6名)、30代:12.8%(5名)、40代:20.5%(8名)、50代:28.2%(11名)、60代:10.3%(4名)、70代以上:5.1%(2名)

 

 

②性別

 

男性:31.6%(12名)、女性:68.4%(26名)

 

 

③職業

会社員:18.4%(7名)、公務員:7.9%(3名)、教員:18.4%(7名)、自営業:7.9%(3名)、主婦/主夫:5.3%(2名)、パート/アルバイト:5.3%(2名)、学生:26.3%(10名)、無職:2.6%(1名)、その他:5.3%(2名)

大学の研究室主催のカフェだからでしょうか、学生が一番多くなっていますが、さまざまな職業の方が参加していることがわかります。

 

 

④参加回数

 

初めてが48.6%(18名)、51.4%(19名)と約半々でした。

 

 

⑤満足度

 

 

大変満足:65.8%(25名)、満足:31.6%(12名)、どちらともいえない:0.0%(0名)、あまり満足ではない:2.6%(1名)、満足ではない:0.0%(0人)

約97%の参加者が満足(大変満足と満足を合わせた数値)したと回答しています。

 

由回答には以下のような言葉が寄せられました。

 

・楽しい視点を得た。association(類似性)して、他の事象との係わりができた。インスピレーションを得た。

・とてもおもしろく、妖怪というもののおもしろさをよりわかった気がしました。

・広い場所で前回より見やすくて良かった。高田先生のお話もおもしろく、よく理解出来ました。

・若い方が多様でおもしろい。

・防災教育に妖怪を活用できるという新たな発見があった。

・人ならぬものとのつきあい方。分からないものとうまくつきあう。

・妖怪⇄自然リスク。哲学的で深く考えられている→語りがすばらしい。いつもいつも考えている。

・自分の研究へのインスピレーションをえられた気がする。

・初めて知る話が多く、シンプルに楽しかったです。

・不思議な会合で、おもしろいと思いました。

・生物多様性とは少し遠いようなテーマであったが、何百年も前から継承される、その地域ならではの文化・自然環境に触れることはできたのではないかと思う。

・普段考えない新たな視点を得ることができた。

・いろいろな世代の人と意見を交換することができて、参考になりました。

・妖怪と防災とがつながるなんて、びっくり!子ども達に考えた妖怪のストーリーやネーミングがすごく面白かった。

・「ゴミを拾うと妖怪の害を回避できる」、現象と直接つながらない。普段の良い行いをする、徳を積むという意識(無意識かも)は子どもによくある。妖怪と同様の概念は欧米にもあるが「悪魔」「ゴースト」「フェアリー」でくくられる。「こんなに細かく名前が分かれているなんてクレイジー」。わからないことを説明するための妖怪。注意を促すために妖怪にする。妖怪と神様の境目は?

・あたり前にあるものの理解が深まった。

・ふだん聞けない話をきけた。

・とても勉強になりました。おもしろかったです!

・新しい視点が得られました。

 

 

⑥参加して生物多様性と人の暮らしについて、考え方は変わりましたか

 

 

大きく変わった:22.2%(8名)、変わった:44.4%(16名)、どちらともいえない:25.0%(9名)、あまり変わらない:5.6%(2名)、変わらない:2.8%(1名)

約67%の参加者が変わった(大きく変わったと変わったを合わせた数値)と回答しています。

 

自由回答には以下のような言葉が寄せられました

 

・ヨーカイの多様性

・妖怪をしんじるしんじない以前に、わかりやすく伝えるということを追求した結果なのかなとも思いました。

・妖怪伝承と地域防災、コミュニティ共有。なるほどなと思いました。子供にもわかりやすく長く早く伝わっていく。親子で妖怪リスクゲーム楽しそう。

・浅野川の清掃活動、ゴミ拾いを通して(みえないもの)徳をつんでつながることがありました。学術的に、ことばにして下さった。視野が広がりました。ありがとうございます。

・妖怪は自然から人間に対するいましめ!

・新たな視点が得られた。

・分からないけど行けないといけないこと、意志決定・合意形成。今までも大切だと思っていた。

・「科学する=わからないものを秩序だった様にする(数式化など)」と思って仕事や研究をしてきたが、もっと自由でよい。

・妖怪という「不可知」と「可知」の関係が面白かった。

・日常の中でギモンを持って物事を見ることで、新しいことを知れるかも・・・楽しみです!

・妖怪と生物多様性とのつながりが、イマイチ腑におちませんでした。

・「わからないこと」多様性を大切にすることの、大切さ・おもしろさを考えました。

・生物多様性についての考え方はそこまで変わっていないものの、「妖怪=負の超自然的な現象」というのを応用して、日常生活にひそむリスクを防いでいくという考えは、かなり斬新であると思ったし、個人的にひきつけられたと思う。

・歴史の中で生まれた妖怪を通して、もう一度今現在の日本社会を捉えることも面白そうだと思った。

・いろいろな立場の人のいろいろな考えがきけて力づけられる。

・妖怪は地域の安全的知恵を生物化したものだと理解できた。

・知らない世界に触れられ良かった。いろいろな方と知り合えるのも良い。

・これまで思っていたことが再認識できました。

 

 

 

⑦今後も参加したいと思いますか

 

 

参加したいと思う:94.9%(37名)、思わない:0.0%(0名)、わからない:5.1%(2名)

今後も参加したいという回答者が9割を超えています

 

 

⑧興味があるテーマ

・老荘思想、成人発達理論、哲学、禅

・今後、どのような技術が生まれて生活にどれぐらい影響を与えるのか。

・昔の人の自然に則した生活とこれから私たち人間が自然物を枯渇させずに新しく生きていく方向と生き物たちとのかかわりなど。

・法哲学

・動植物の資源利用

・日本の季節は四つだけでしょうか。

・自然と共生

・獣害

・様々な生き物、昆虫、鳥、小中大型動物たちの行動が、自然の多様性に繋がっているか知りたいです。

・哲学

・防犯

・ある地域ならではの生物とその伝説、それとの付き合い方について。

・汽水域から見た生物多様性などお話をきき、フィールドワークもぜひ考えてほしい。

・外来生物の駆除は善か悪か。

・(ツキノワグマ)クマとヒト

・農林水産業、地産地消

・自然保全と伝統文化、地域資源の新しい価値

・里山再生やコウノトリ、トキなどの取組み

・妖怪シリーズ、お願いします。

・植物、文化、知識の共有や継続に必要なものとは?

 

 

⑨全体としての感想として、以下の声が寄せられました。

 

・ヨーカイ考案WSはすばらしいアイデアですね。

・妖怪というわからないものを調べると、こんなにもたくさんのことを知ることができたり、人間の本質に近づけたような気がしました。

・日本昔話を見て子供時代を過ごしました。今日、日本のあのころの伝承として、また大人の視点でいろいろ読んでみたいと思います。地域防災、コミュニティ、生物の生息地域による妖怪の違い、自然との境界の外。

・すごく面白かったです!また機会がありましたら、よんでみます。

・何かわからないことは妖怪のせいだよね。この●も妖怪のはからい?

・妖怪を見直しました。わからないことはとりあえず妖怪のせいにしてから、考えるようにしてみます。

・よく分からないものにひきつけられるのが人間。ようかいの話は、とっても面白かったです。かっぱがめ、スッポンの他にサルというのも面白かった。

・毎日生活の中でいろいろな出会いが出来ました。

・バスの便が悪い!

・災害と妖怪の関係について、地域を見つめていく視点が増えて勉強になりました。

・高田先生と菊地先生の返しがすごかったです。「非科学的なものを科学する」高田先生の姿勢に驚かされました。

・不思議なこと、わからないものを伝える手段としての「妖怪」大変面白かったです!それを防災に活かすという視点が興味深かったです。いろんな世代・専門の人と話せるのがおもしろいですね!

・今、専攻を何にするか悩んでいたので、土木の研究をしている高田先生が、妖怪みたいな非科学的な話をしているのを聞いて、驚きがあると同時に、素直に自分がやりたいことをやればいいかなと思った。

・内容も大変面白かったが、大人同士が真剣に妖怪について語ることはなかなかない機会と思い参加した。グループトークも面白かった。

・楽しくお話聞かせていただきました。ありがとうございます。

・非常に興味観心をひかれた。

・初めて知る話が多く、シンプルに楽しかったです。

・世代、性別、職業etc様々な人が集まり、妖怪から生物多様性を考えるというふわっとしたテーマに対し、いろいろな立場の人が活発に意見交換する不思議な集まりでした。

・「わからないこと」を大切にすることの価値の共有がよかったです!

・現代は科学技術の発展によって、多くのことが解明されてきている。しかし、そんな中でファンタジーのような「よくわからないこと」について議論することは、本質的に有用であるかは別として、想像力をかきたる良い機会であると思った。次回もたのしみにしております。

・高校生から88歳になる先生まで多様な意見を聴くことができ、良かった。江戸時代は「見えないものを見ようとした」とあったが、現代は妖怪ウォッチのOPにもあるように見えない妖怪のせいにして、納得する考えが強いと思い、変化があったのだと思う。

・昔から好きだった妖怪を多面的に見ることができて、楽しかった。

・自然の多様性が妖怪を生み出したこと。ぜひワークショップをやってほしいです。

わからないもの、わからないことだらけの世の中だけど、その中から何を見出して、どう生きて行くのか。みんな悩んで手さぐりであるんでいるんだなぁと何だか安心した。菊地先生のフォローが素晴らしい!発言者の意図するところをわかりやすく語って下さること。生物多様性というテーマに上手くつなげて、集まった人々にこの集まりが「いしかわ生物多様性カフェ」であることをさりげに思い出させてくださった。

・普段全く意識しない角度からのテーマ設定だったので、普段使わない部分がシゲキされました。

・妖怪を活用した地域防災はどのように生物多様性を関連づけができるのかちょっとわからないですが、多大な啓発を受けました。ありがとうございました。

・仕事上、災害が起きると対応しなくてはいけない仕事をしています。妖怪の視点で災害を考える視点がとてもおもしろかったです。湯涌温泉のワークショップも楽しみにしています。

・妖怪ワークショップは、おもしろい取り組みだと思いました。自分で考え、リスクを見つけ出すところが良いと思う。

・兵庫県立人と自然の博物館の展示を見たいです。巡回展とかして欲しいです。

 

 

第二回いしかわ生物多様性カフェ記録

第二回 いしかわ生物多様性カフェ記録

開催日時:2023年11月17日(金)18:30〜20:30

開催場所:石川県立図書館研修室

話題提供者:高田知紀さん(兵庫県立大学 准教授/兵庫県立 人と自然の博物館 主任研究員)

テーマ:妖怪から生物多様性を考える−自然という恵みと災い

参加者数:約50名(一般参加者42名+スタッフ・関係者10名程度)

 

前回の会場はちょっと狭くてぎゅうぎゅう詰めだったので、広い会場に変更(ちょっと広すぎだったかなあ、と独り言)。

 

【趣旨説明】

いしかわ生物多様性カフェとは、人の暮らしと生物多様性について、コーヒーなどを飲みながら、市民と専門家が「対話」する場です。

「対話」を通して、生物多様性を活かした石川の未来を考える機会、生物多様性がテーマのネットワークをつくりたいと考えています。

 

当面は、2ヶ月に一度程度の間隔で開催します。

 

対話はのルールは以下の三つです。

・誰でも参加できること

・誰でも発言できること

・発言を否定しないこと

 

 

 

 

【話題提供】

高田さんは、合意形成、市民プロジェクトのマネジメント、風土を活かした計画論の研究している中堅の研究者。伝統的地域社会において,人びとは不可解な事象に対する説明装置として妖怪(本来的妖怪)を語ってきましたが、思考の合理化によって、キャラクターとしての妖怪が広まってきたといいます。

 

妖怪伝承の多くはある一定の場所性をもって語られています。山には山の、川には川の、海には海の、里には里の、屋敷には屋敷の、それぞれの妖怪が存在しています。妖怪は、それぞれの場所のリスクとわからないことを納得するための伝承と考えることができます。こうした多様性は、たとえばキリスト教圏などでは見られないともいいます。妖怪は自然とのかかわり方の多様性を表しているといえそうです。

高田さんは、自然災害に関する妖怪文化に注目し、妖怪を活用した地域防災を提唱しています。その手法が妖怪ワークショップです。地域のリスクを洗い出し、リスクをシンボル化し、そのエッセンスを表現し、対処の方法検討し、それらを伝承していきます。子どもたちが色々な妖怪を考えた事例も紹介していただきました。みんなでつくる21世紀の妖怪ですね。高田さんは、現代社会で妖怪を語ることの意義として、人間を取り巻く現実の世界は「わかっていること」以上に「わからないこと」で溢れていて、生きていくうえでは「わからないこと」とも付き合っていかなければならない。「妖怪をみるということは,みえないものを無理やりにみようとすること」(水木しげる)を挙げました。

 

ブレイクタイムでは、周りの人と5分ほど雑談。自己紹介や妖怪の話で、各テーブルは盛り上がっていたようでした。

いよいよ対話開始。私の学生が作成した記録をもとに、対話の様子をお伝えします。

 

【対話】

Aさん(大学生):哲学を専攻していて形而上学も学んでいる。妖怪などのよく分からないことを考えることは哲学的で面白い。

 

高田さん:水木しげる先生の「妖怪を見ることは、見えないものを無理やりにみようとすること」という言葉がとても大事。分かること以上に分からないことの方が多い。分かっていることだけで、防災のことを考えるのはリスクがある。生きるときには、分かっていることと分からないことを知って、意思決定することが大事。分かっていることだけで合意形成すると、いい結論にならない。

 

Bさん(行政職員):子どもに分かりやすく防災を教えるツールとしての妖怪。危険回避のゲームを使って学ぶのは面白そう。例えば、電気柵が妖怪 電気柵転がし。

 

菊地:獣とどう付き合っていくかということやリスクを認識するのに妖怪が有用かもしれない。

 

Cさん:なぜ江戸時代に妖怪を信じなくなったのでしょうか?なぜ、現在では科学的ではないものを信じないのでしょうか?

 

高田さん:江戸時代の人はそれより前の時代の人に比べて思考が合理的。そのため、前時代的な妖怪などを信じなくなった。江戸時代以前とは、思考の体系が大きく変わっている。

 

Dさん(大学教員):分からない現象についてリスクを管理する意味で、防災の意味の妖怪もいるように、病に関する妖怪もいるだろう。タイにもおばけがいて、原因を説明できない「風邪」はお化けのせい。エイズは原因が分かったので、おばけではない。説明できない病は呪いやお祓いで対処。人が病の時は術を使う人が解決することができるが、災害の場合は、人々が語り、共有することによって、防災につながると思う。

 

高田さん:神様と妖怪を区別できない。表裏一体。目に見えない事象の原因を何にするかで、対処の方法が変わってくる。神様を原因だとすると、神社のお祓いで対応する。

 

Eさん(大学教員):妖怪ウォッチブームで妖怪に対する関心は変わらないのか?

 

高田さん:子どもたちはずっと妖怪が好き。

菊地:世代間で妖怪に対する興味の差はあるのか?

高田さん:妖怪ワークショップでは親と子が一緒に考えるのが一番面白い。大人はカッコつけて考えてしまう。あるいは理屈で考えてしまう。子どもの方が、ゴミを拾ったり、人に優しくしたりといった、普段の行いや徳を積むことが妖怪に関係すると話す。

 

Fさん(高校生):帰る時間になると学校の電球がチカチカする「イチゴちゃんが来た」。

 

Gさん(研究者):真実と知っていることの間が妖怪。研究の出発点になることが妖怪などの「よくわからない」ということ。人間にとっては大事なもの。真実に迫るには、妖怪が重要。多様性を理解するためには、自由な発想が重要。

 

菊地:わかることもあるし、分からないものもある、その間にあるのが妖怪

高田さん:現実はとても複雑であり、元々未分化の現実を自分の都合で理解している。

菊地:科学のアプローチもあるけど、真実に到達する一つの方法として妖怪からのアプローチもある。

 

Hさん(自然関係者):白山比咩神社の近くでキャンプ場の仕事。天気に左右される仕事、親子の合意形成の話。大人は雨になったら屋内で、子供は雨でも外のテントで寝たい。

てるてる坊主は何の儀式。天気の子の映画のような生贄なのか。妖怪と天気との関連は?

 

高田さん:人間がコントロールできないもの、超越的な何かが私達にもたらしてくれるものが天気。妖怪と雨乞いの話。池の底に龍のお気に入りの鐘があって、鐘に悪戯したら龍が怒って雨を降らせるため、雨が降らないときは、池に潜って龍を怒らせようとしていた。

人間はコントロールできないものに対して、諦めずに努力をしてきた。その努力の結晶が、祈り、祭りや儀式。

 

菊地:日本では八百万の神というようにあらゆるところに神様が存在している。一神教の世界では、ローカル中身を排除してきた歴史がある。たとえば、ヨーロッパには妖怪がいるのか?

高田さん:国や地域によっては、悪魔や妖精などがいるが、ローカル生が乏しい。一個一個に名前を付けるのが日本人の特徴。河童でもローカル性がある。微妙な差によって、名前も違う。

菊地:妖怪の多様性があるということ。

 

Iさん(自然インストラクター)女性:里山の公園で働いている。物の妖怪について詳しく教えてほしい。

 

高田さん:万物に魂が宿るというのが、ベースとしてある。人が信じなくなっても、人と物との付き合い方は日本人の精神性が現れている。

 

Jさん(農家)男:夢の中に妖怪は存在しますか?日本とアメリカの間に綱があってそれを渡る夢。

 

高田さん:夢の妖怪は多い。枕返し:単にいたずらだけではなく、枕を返されると、異世界に行く。夢を見て、起きた時に不安がある。不安感が妖怪形成につながる。

 

Kさん(大学生):「妖怪のせいなのね」とりあえず見えないものを妖怪にしている。

 

高田さん:妖怪ウォッチのレベルで妖怪を認識していても、しめ縄まいた木を切れない。キャラクター化されても、妖怪にはリアリティがある。

菊地:妖怪は科学的ではないと言われることもあるが、自然へのアプローチの一つとして重要。

 

 

アンケートを読む限り、概ね好評。

いまいち妖怪と生物多様性の関係がわからなかったというご指摘もありました。

 

これからも、「ゆるく繋がりながら、大事なことを話し合っていきたい」と思います。

 

関係者のみなさん、参加者のみなさん、ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。

翌日予定していた妖怪ワークショップは、悪天候のため中止としました。

春に再企画します。

 

石川県立図書館に所蔵された高田さんのご著書や妖怪関係の本

 

第二回いしかわ生物多様性カフェと妖怪ワークショップを開催します

第二回いしかわ生物多様性カフェを開催します。

 

【話題提供者】高田知紀さん(兵庫県立大学准教授/兵庫県立人と自然の博物館研究員)

【テーマ】妖怪から生物多様性から考える−自然という恵みと災い

【日時】2023年11月17日(金)18:30〜20:30

【場所】石川県立図書館 研修室(文化交流エリア2F) ※対面のみです

【対象】どなたでも参加できます(参加費無料)

【定員】40名程度

【主催】金沢大学先端観光科学研究所 菊地直樹研究室

【共催】石川県立図書館、いしかわ環境パートナーシップ県民会議(いしかわ自然学校)

【協力】石川県立大学 上野裕介研究室

 

あわせて以下のイベントも開催します。

 妖怪ワークショップ

【講師】高田知紀さん(兵庫県立大学准教授/兵庫県立人と自然の博物館研究員)

【日時】2023年11月18日(土)9:00〜12:00(集合時間8:50)

【集合場所】湯涌創作の森

【対象】どなたでも参加できます(参加費無料)

【定員】20名程度

【主催】金沢大学先端観光科学研究所 菊地直樹研究室

【共催】石川県立図書館、いしかわ環境パートナーシップ県民会議(いしかわ自然学校)

【協力】石川県立大学 上野裕介研究室

 

【申込方法】

参加をご希望の方は、以下の申込フォームから必要事項をご記入の上、お申し込みください。カフェとワークショップはどちらかだけでも参加できます。いしかわ生物多様性カフェは当日の受付も可能ですが、なるべく事前に申し込んでください。

https://docs.google.com/forms/d/1v2_bP4e_QKaFqCKUEWKiItr8RpL3DDRFTWkopIYgnhY/edit

 

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